Quadruped Robot

四足歩行ロボットの導入

階段も不整地も越える脚型ロボットを実現度・実額・現場条件の三つで判断できるように整理しました。屋外点検と夜間巡回は実用段階、制圧や運搬はできません。

能力表14件 販売価格は税別の実額 できないことも明記
まず結論

見回りの置き換えなら入る。掴む・止めるは入らない

四足歩行ロボットは、屋外の設備点検と夜間巡回では実用段階に入っていますが、侵入者の制圧や重量物の運搬はできません。センサーを載せて歩く「脚」であり、見つけた後の対処は人が担います。国内595件の導入・実証事例の分析では、四足歩行の実運用比率は11.1%と形態別で最も低い水準でした(出典1)。用途を見回りの置き換えに絞れるかどうかが、そのまま成否を分けます。

02 / Basics

四足歩行ロボットとは何か・何が得意か

四足歩行ロボットは、関節にモーターを持つ4本の脚で歩く機体です。車輪型と違い接地する点を一歩ごとに選べるため、階段・段差・砂利・配管をまたぐ床でも進めます。本体のカメラと慣性センサーに測距用LiDARや赤外線カメラを足して使う——仕事をするのは載せたセンサーで、機体はそれを運ぶ脚です。何を測りたいかが決まっていないと、買っても使い道が定まりません。

自律性は「決めた道を繰り返す」水準

実際に動いているのは、経路を事前に設定して同じルートを繰り返し歩かせ、人が遠隔で見守る形です。撮る位置と角度が毎回そろうので、前回との差分で異常に気づけるのが自動巡回の価値になります。その場の判断で動き回らせる使い方は、まだ実力を超えています。事例分析でも「定型・反復・閉鎖環境の業務が実装を先行する」とされています(出典1)。

03 / Capability

できること/できないこと

能力データベースから四足に関係する14件をすべて。◎実用/○条件付き可/△研究段階/×今はできないの4段階です。

出典6。公開仕様と供給元情報にもとづく評価です。手配=弊社手配/開拓中(供給線を開拓中)/―(該当なし)。全60件の能力表で絞り込めます。
作業業種実現度条件手配
トンネル・管路・狭所の点検 自治体・インフラ ◎ 実用 通信・回収手段の確保 弊社手配
公共施設の警備・巡回 自治体・インフラ ◎ 実用 経路設定・夜間対応 弊社手配
夜間の警備巡回 全般 ◎ 実用 経路設定・充電拠点 弊社手配
夜間巡回・屋外点検 警備・点検 ◎ 実用 階段可・遠隔監視・雨天△ 弊社手配
屋外の設備・インフラ巡回点検 全般 ◎ 実用 階段可・遠隔監視推奨 弊社手配
フロア巡回・夜間見守り 介護 ○ 条件付き可 通路・プライバシー配慮 弊社手配
倉庫の棚卸し・在庫点検 全般 ○ 条件付き可 通路幅・タグ整備が前提 弊社手配
危険地帯・狭所の調査 警備・点検 ○ 条件付き可 通信・回収手段の確保 弊社手配
危険地帯・狭所の遠隔調査 全般 ○ 条件付き可 通信・回収手段の確保 弊社手配
危険箇所・狭所の遠隔点検 建設 ○ 条件付き可 通信・回収手段の確保 弊社手配
在庫棚卸し・巡回点検 物流・倉庫 ○ 条件付き可 Go2 Pro 15万円〜/日・オペ同行 弊社手配
夜間の棚卸し・在庫点検 小売・店舗 ○ 条件付き可 通路幅・タグ整備が前提 弊社手配
災害・危険地帯の遠隔調査 自治体・インフラ ○ 条件付き可 通信環境・天候に依存 弊社手配
設備の巡回点検 製造 ○ 条件付き可 通路・遠隔監視の整備 弊社手配

◎はすべて「見る・記録する」作業で、×は「掴む」「止める」です。○に並ぶ条件も通路幅・タグ整備・通信・回収手段といった現場側で用意する前提で、機体の性能ではありません。業務別の実運用比率は設備点検が37.1%(89件)と検査・品質管理71.8%より大きく低い(出典1)。撮った先の判定と運用が続かないと止まる、ということです。

04 / Models

代表機種と選び方

導入例が最も多いのはUnitree Go2。同じ機種名でもエディションでプログラムから動かせるかが変わります。

供給元の価格表(2025-10-06改定・税別/出典7)。派生構成は都度お見積り。在庫は非公開です。
エディション二次開発販売価格(税別)
Unitree Go2 Air 不可 ¥528,000
Unitree Go2 Pro 不可 ¥678,000
Unitree Go2 X ¥998,000
Unitree Go2 R&D Basic ¥1,150,000
Unitree Go2 R&D Plus ¥1,595,000

Go2 AirとGo2 Proは二次開発ができません。スマートフォンから操作して歩かせることはできますが、自社アプリやROS2からは制御できない仕様です。点検システムと連携させる構想があるならGo2 X以上でないと要件を満たせず、取り違えると買い直しになります。選ぶときは自社のプログラムから動かすか/測距が要るか/1回の巡回を何分走らせるかの3点に答えてください。型番・オプション価格はUnitree Go2の機種ページへ。

05 / Cost

費用の目安

購入は税別52万8,000円から159万5,000円が目安で、ここに測距用LiDARや自動充電ステーションなどのオプションと送料が加わります。レンタルは、オペレーターが同行してGo2 Proを運用する形で1日15万円〜(税別・都内諸経費込の実績・構成で変動)が実勢です(2026年時点)。他のエディションや期間を即答しないのは、確認せずに数字を出すと後で食い違うからです。

補助金は購入なら設備投資として対象になり得ます。中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は補助率1/2以下、上限は従業員5名以下200万円・6〜20名500万円・21名以上1,000万円(賃上げ達成でそれぞれ300万・750万・1,500万円)。中古品は対象外で、3年間で労働生産性を年平均3.0%以上向上させる計画が要ります(出典5)。レンタルは対象外の制度が多く、採択も保証されません。制度は補助金で導入する、相場は費用相場へ。

06 / Use Cases

向いている業種とユースケース

最初に効くのは、人が毎日同じ場所を歩いて見ている業務です。

  • 警備・点検— 夜間の屋外巡回は◎。人員を増やさず見回り回数を増やせます
  • 自治体・インフラ— トンネル・管路・狭所の点検、公共施設の巡回
  • 製造— 設備の巡回点検。計器の読み取りや異音の記録に
  • 建設— 危険箇所の遠隔点検。人を立ち入らせずに状況を取れます
  • 物流・倉庫小売— 夜間の棚卸し(通路幅とタグ整備が前提)

「AIロボティクス戦略」は18分野の実装ロードマップを掲げ、2040年までに1,000万台規模のAIロボットを国内導入する目標を置いています(出典2)。インフラ保守・警備業はその18分野に含まれ、国土交通省の建設分野フィジカルAI戦略でも重点8分野に構造物点検・巡視/点検が入りました(出典3)。

07 / Site Check

導入前の現場条件チェック

止まる理由は、ほぼこの5つです。契約前に現場で確かめてください。

  • 階段と段差— 段の高さ・踏面の幅・踊り場の回転スペース。カタログの「階段対応」ではなく実物で
  • 雨天と積雪— 止める天候の条件を先に決め、止まった日の点検をどうするかまで組み込む
  • 通信— 遠隔監視が切れる区画はどこか。切れた場所で停止したときの扱いを決めておく
  • 回収— 動けなくなった機体を誰が取りに行くか。人が入れない場所ほど重要です
  • 充電拠点— 1回の巡回時間から逆算して、充電位置と巡回本数を決める

人と動線が交わる場所では、すれ違いの幅と稼働音への配慮も要ります。つまずく型は失敗パターンへ。

08 / How to start

導入の進め方とPoC

関東経済産業局の「ロボット導入施策パッケージ」は、中堅・中小企業が独力でロボットを導入することは困難だとしたうえで、流れを事前検討・調査→要件確認→要件定義・仕様検討→機器・システム提案→導入→運用・改善・保守の6段階で示しています(出典4)。四足なら最初の2段階を1ルート・1棟のレンタルで済ませるのが最短です。実際に歩かせれば、階段が通れるか・電波が届くか・電池が持つかが机上より早く確定します。判定条件は経路を最後まで歩けたか/判定できる画が撮れたか/異常が何分で伝わるかを先に決めてください。設計はPoCの進め方、全体像は導入ガイドへ。

09 / FAQ

よくある質問

四足歩行ロボットは階段を上れますか?

はい。脚で接地点を選べるため階段・段差・不整地を越えられるのが車輪型との違いです。ただし段の高さや踊り場の広さによっては通れないため、実際に通す階段で歩かせて確かめます。

雨や雪の日でも動きますか?

小雨程度なら機種によりますが、豪雨・積雪・凍結路面では止める前提で計画してください。停止する天候の条件と、その日の点検をどうするかまで決めて運用します。

夜間に無人で巡回させられますか?

夜間の屋外巡回は実用段階(◎)です。ただし放置ではなく経路の事前設定・充電拠点・遠隔監視が前提で、通報を受ける体制もあわせて決めます。

Unitree Go2はどのエディションを選べばよいですか?

自社のプログラムやROS2から制御する予定があるならGo2 X以上です。Go2 AirとGo2 Proは二次開発ができません。取り違えると納品後に作り直しになります。

四足歩行ロボットの導入費用はいくらですか?

販売は税別52万8,000円(Air)から159万5,000円(R&D Plus)が目安。オペレーター同行でのGo2 Proの運用は1日15万円〜(税別・都内諸経費込の実績・構成で変動)です。

四足歩行ロボットに補助金は使えますか?

購入なら設備投資として対象になり得ます。中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は補助率1/2以下、上限は従業員5名以下200万円・6〜20名500万円・21名以上1,000万円。中古品は対象外、レンタルも対象外の制度が多く、採択は保証されません。

警備員の代わりになりますか?

なりません。四足歩行ロボットは侵入者の確保・制圧を行いません。検知して知らせるまでが役割です。見回り回数を増やす、危険な場所に人を立ち入らせない、という置き換え方が現実的です。

出典

  1. 株式会社Lister「フィジカルAI導入・実証トレンドレポート2026」(2026年7月・国内595件の分析)https://lister.jp/physical-ai/chaos-map/use-case/report/
  2. 内閣官房「AIロボティクス戦略」(令和8年3月26日決定・5月27日改訂)https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/ai_robo/dai3/shiryo1.pdf
  3. 国土交通省「建設分野におけるフィジカルAI戦略(中間とりまとめ)」(令和8年9月4日公表)https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_001361.html
  4. 関東経済産業局「ロボット導入施策パッケージ 2026年5月時点版」https://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/iot_robot/robot/data/robot_package.pdf
  5. 独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)」https://shoryokuka.smrj.go.jp/catalog/about/
  6. フィジャーズ 能力表(実現度60件)
  7. フィジャーズ 機種データベース(Unitree Go2=供給元の価格表2025年10月6日改定、レンタル=2026年6月時点の回答。税別)
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監修:齊木祐介ASI株式会社 代表取締役

AI・ロボティクスの導入支援、補助金・助成金の活用支援、専門メディアの運営など複数事業を統括。四足・ヒューマノイド・ドローンの供給元との実取引と実見積にもとづき、本サイトの実現度(◎○△×)・費用・手配可否を監修しています。(運営:ASI株式会社運営者情報