PoCの目的は「動くこと」の確認ではありません。うちの現場で、うちの人が、毎日回せるかの確認です。KPIの決め方、計画書に書く項目、期間と実額、Go/No-Goの判定基準まで、そのまま使える形にしました。
PoCは、目的とKPIを決め、作業と機種を絞り、計画書を1枚にまとめ、レンタルで短期導入し、現場条件と効果を測り、Go/No-Goを判断する6ステップで進めます。合格ラインを先に決めていないPoCは、結果も判断もぼやけます。期間は1泊2日から1か月まで選べ、費用はレンタル料に配送・保険・レクチャーが加わります。
順番を変えないでください。とくにKPIを決める前に機体を借りないこと。先に借りてしまうと、現場は「動いた」「すごい」で終わり、判断に使える数字が残りません。導入の6ステップのうち、ここはステップ5にあたります。PoCで最初に確かめるのは機体ではなく課題です。国土交通省が建設分野の戦略で示した「導入自体を目的化せず、現場課題を起点に手段として活用する」という原則[3]は、業種を問わずPoCの設計にそのまま当てはまります。
混同されやすいのがデモとPoCの違いです。デモは機体の動きを見せる催しで、目的は社内の理解や集客。PoCは自社の現場で自社の人が回せるかを測る検証で、目的は投資判断です。同じ機体を借りても、決めるべきことも記録すべきことも違います。デモのつもりで借りて、後からPoCの結論を求めるのが、いちばん多いすれ違いです。
何がどうなれば成功かを数字にします。作業時間・人手・ミス・受け入れの4つに、それぞれ合格ラインを置きます。
決める人:経営と現場責任者効果が出そうな一つの作業だけにします。実現度が◎か○で、現場条件が合う機種を選びます。自社で制御する予定があるなら、二次開発できるエディションを借ります。
つまずき:あれもこれも試す目的・範囲・KPI・日程・体制・安全・費用・判断者を1枚に。社内の合意は、この1枚で取ります。
つまずき:口頭合意のまま始める購入せず借ります。期間は1泊2日から1か月まで。操作できる人が社内にいなければ、オペレーター同行の形を選びます。
つまずき:機体だけ借りて動かせない段差・通路幅・床・通信・充電・騒音・エレベーター・人の動線を実機で確認しながら、KPIを測ります。測るのは現場の人です。
つまずき:立会いの日だけ測るKPI・現場条件・運用体制・費用・受け入れの5点で判定します。No-Goも成果として、理由つきで記録します。
つまずき:判断日を決めずに延長するKPIは4つで足ります。多いほど良いように見えて、測る手間が増えると現場の記録が途中で止まります。合格ラインは導入前の実測値を基準に置いてください。「一般的に3割削減」のような外の数字を基準にすると、判断できません。
そのため、機体が来る前に導入前の数字を測っておく必要があります。対象作業を3日分、ストップウォッチと紙で十分です。ここを飛ばすと、導入後にいくら丁寧に測っても比べる相手がなく、「速くなった気がする」で終わります。測る担当は、その作業を毎日している人にしてください。管理者が測ると、うまくいった回だけが記録に残ります。
| KPI | 測り方 | 合格ラインの置き方 | 見落としやすい点 |
|---|---|---|---|
| 作業時間 | 対象作業1回あたりの分数。導入前に3日、導入後に3日 | 導入前の実測値に対する削減率で置く | 人が付き添っている時間も足す |
| 必要な人手 | その作業に関わった人数×時間 | 1人分浮くのか、0.3人分なのかまで出す | 充電・片付け・トラブル対応の時間が抜けやすい |
| ミス・やり直し | 誤配・破損・再作業の件数 | 導入前の件数を上回らないこと | 件数がゼロでも、ヒヤリとした回数を数える |
| 現場の受け入れ | 使った人に5段階で聞く(明日も使いたいか) | 過半が4以上 | 数字が良くても現場が嫌がれば定着しない |
A4で1枚に収めてください。長い計画書は誰も読まず、現場に伝わりません。
| 項目 | 書く内容 | 決めないと起きること |
|---|---|---|
| 目的 | どの作業を、なぜ楽にしたいか(1文) | 途中で対象が増え、何も検証できない |
| 対象と範囲 | フロア・時間帯・対象品目を限定して書く | 現場ごとに条件が違い、数字が比較できない |
| KPIと合格ライン | 4つのKPIと、導入前の実測値 | 「動いた」で終わり、Go/No-Goが決められない |
| 日程 | 搬入・レクチャー・本番・撤収の日付 | 撤収日が延び、費用が積み上がる |
| 体制 | 社内の担当、操作する人、記録する人 | 操作できる人が1人だけになり、休むと止まる |
| 現場条件の実測値 | 段差・通路幅・床・通信・充電・騒音など | 初日に「入らない」が判明し、期間を無駄にする |
| 安全と周知 | 立入管理、来客や入居者への説明、撮影範囲 | 途中で運用停止を求められる |
| 費用の内訳 | レンタル料・配送・保険・レクチャー・社内工数 | 総額が後から膨らみ、稟議が通らない |
| 判断者と判断日 | 誰が、いつGo/No-Goを決めるか | 결論が出ないまま延長が続く |
| 終了後の扱い | 返却するか、購入・補助金申請に進むか | 次の一手が決まらず、熱が冷める |
レンタルは1泊2日から1か月まで選べます。確かめたいことで期間が決まります。社内説明や展示なら1泊2日、一通りの作業を回すなら4泊5日前後、運用体制まで試すなら7泊8日から1か月です。
期間を数えるときは、初日は開梱・設置・レクチャーで終わることが多く、搬入日・撤収日は検証日に数えないでください。担当を替えて回せるかまで見たいなら、週をまたぐ期間が要ります。
| 期間 | 確かめられること | 小型二足の提示額(税別・時点の目安) |
|---|---|---|
| 1泊2日 | 社内説明、展示、動きの体感 | 機体のみ 5万2千円〜/二次開発可の版 10万円〜 |
| 4泊5日 | 対象作業を一通り回す | 機体のみ 16万円〜/二次開発可の版 32万円〜 |
| 7泊8日 | 担当を替えて回せるかを見る | 二次開発可の版 50万円〜 |
| 1か月 | 運用体制・充電サイクル・定着 | 機体のみ 60万円〜/二次開発可の版 120万円〜 |
判定は5点すべてで見ます。KPIだけが良くても、動かせる人が1人しかいなければ本稼働では止まります。判断日は計画書で先に決め、当日に判定してください。
| 判定項目 | Goの目安 | No-Goにすべき兆候 |
|---|---|---|
| KPI | 4つのうち3つが合格ラインを超えた | 人が付き添って初めて成立した |
| 現場条件 | 8項目すべてが実測でクリア | 経路の一部を毎回人が手直ししている |
| 運用体制 | 担当が決まり、手順書が書けた | 操作できるのが1人だけ |
| 費用 | 総額と削減額を並べて説明できる | 本体価格しか分かっていない |
| 受け入れ | 現場が「続けたい」と言っている | 現場が止めたがっている |
数年単位の故障率、バッテリーの劣化、そして別拠点での再現性です。とくに3つ目は数字に出ています。Listerが国内595件を分析した調査では、2件以上導入した組織は68/493組織(13.8%)、複数拠点・全社規模は35件(5.9%)にとどまります[1]。1拠点で回った運用が別拠点でそのまま回るとは限らないため、拠点ごとに現場条件を測り直してください。
また、PoCをやってもできない作業はできないままです。介護の移乗・入浴・排泄の介助、複雑な調理と接客判断、侵入者の確保・制圧は×、多品種の器用な把持や柔軟物の掴み分けは△(研究段階)です。この領域はPoCの対象にせず、できる/できない一覧で先に除いてください。
PoCの期間はどのくらい必要ですか。
目的で変わります。社内説明や展示なら1泊2日、一通りの作業を回すなら4泊5日前後、運用体制まで試すなら7泊8日から1か月です。期間を延ばすほど費用も増えるので、何を確かめたいかを先に決めてから期間を選んでください。
PoCの費用はいくらくらいですか。
機種と形態で変わります。当サイトが手配できる供給元の提示額では、小型二足の機体のみで1泊2日が税別5万2千円〜、1か月で60万円〜、二次開発できるR&D版は1か月120万円〜です。機体のみのプランでは、これに梱包配送3万円、保険3万円、設置レクチャー3万円(1日・交通費別)が加わります。いずれも下限の目安です。
PoCの費用に補助金は使えますか。
期待しないでください。補助金は設備投資が対象のため、レンタルは対象外のことが多く、採択も保証されません。PoCは自社の判断材料を得るための費用と割り切り、本導入の購入分を補助金の検討対象にするのが現実的です。
操作できる人が社内にいません。
オペレーターが同行する形を選べます。四足の1日デモでオペレーター同行込み15万円〜、小型二足のエンジニア同伴デモで1日40万円〜といった形です。機体だけ借りても動かせないため、初回は同行ありをおすすめします。価格は税別・下限の目安で、構成により変わります。
No-Goになったら、その費用は無駄ですか。
無駄ではありません。購入していれば数百万円が現場で止まっていたところを、レンタル費用で止められたということです。No-Goの理由(どの条件が外れたか)を記録しておくと、次の機種検討や現場改修の出発点になります。
PoCをやれば、すべて分かりますか。
分からないことが3つ残ります。数年単位の故障率、バッテリーの劣化、そして別拠点での再現性です。Listerの調査では2件以上導入した組織は68/493(13.8%)にとどまります。拠点が変われば現場条件は測り直しになります。
KPIはいくつ決めればいいですか。
4つで十分です。作業時間、必要な人手、ミスの件数、現場の受け入れ。多すぎると測る手間で現場が疲れ、記録が途中で止まります。合格ラインは、導入前の実測値を基準にして決めてください。
試したい作業をお聞きすれば、どの機種を・どの期間・いくらで借りて、何を測るかまで設計してご案内します。合わないと判断したときは、合わないとお伝えします。相談・お見積りは無料です。