四足ロボットが階段も不整地も歩くようになり、夜間巡回と屋外点検は実用段階に入りました。ただし侵入者を取り押さえることはできません。役割は検知と通報まで。どこまで任せられるかを、実現度と実額で切り分けます。
夜間巡回・屋外点検は◎実用、狭所調査・屋内受付・上空監視は○条件付き。一方で侵入者の確保・制圧は×(今はできない)で、悪天候での飛行も行いません。人の警備員を減らす道具ではなく、歩く距離と見落としを減らす道具です。
国の「AIロボティクス戦略」は、AIロボットを先導導入する18分野の一つに警備業を挙げ、2040年までに1,000万台規模の国内導入を掲げています[1]。現場側でも、能力DBで◎(実用)が付くのは夜間巡回・屋外点検。四足ロボットが決めた経路を歩き、カメラとセンサーで記録し、遠隔に上げる形はすでに動いています。
ただし数字は冷静に見るべきです。国内595件の事例分析では、設備点検は事例89件と件数こそ多いのに、実運用比率は37.1%[2]。搬送73.3%やピッキング82.9%と比べると、定着率は明確に低い。四足歩行ロボットの実運用比率も11.1%[2]です。「デモは成功したが運用に乗らない」がいちばん起きやすい領域だと、数字が示しています。
人が入る前の一次調査を任せられます。条件は2つ、通信が届くことと動けなくなったときの回収手段があること。地下ピットや配管まわりは電波が抜けず、機体が奥で止まると取りに行けません。到達点までの電波強度を先に測り、牽引や回収の手順を決めてから入れます。
小型二足(Unitree G1)は平坦床が前提で、稼働は約2時間ごとに充電、力仕事はできません。受付・案内・見回りの範囲なら成立します。ドローンによる上空監視は航空法の飛行許可と飛行ルートの設計が前提で、夜間飛行は別途の検討が要ります。
「異常を上げる先」を決めないまま入れると、必ず止まります。誰が通知を受け、何分以内に何をするのか。この運用を先に決めた現場だけが、巡回ロボットを使い続けています。
問い合わせで最も多い期待ですが、今はできません。理由は3つ。人に接触して動きを止める行為は、相手と機体の双方に傷害リスクがあること。誰の判断で実力を行使するのかという責任の所在が決められないこと。そもそも現行機の出力とバランス制御では、抵抗する人を保持できないこと。能力DBの注記どおり検知・通報までが警備ロボットの守備範囲です。
ドローンは安全のため飛ばしません。台風・強風・降雪の日に「今日こそ見たい」場面が来るのが警備の難しさで、止める基準を先に決めておくことが運用設計そのものになります。屋外の四足も、凍結路面とグレーチングは事前に経路から外します。
能力DBの警備・点検の全行です。◎実用/○条件付き可/△研究段階/×今はできない。
| 作業 | 機種 | 実現度 | 条件 | 手配 |
|---|---|---|---|---|
| 夜間巡回・屋外点検 | 四足 / Unitree Go2 | ◎ 実用 | 階段可・遠隔監視・雨天△ | 弊社手配 |
| 危険地帯・狭所の調査 | 四足 / Unitree Go2 | ○ 条件付 | 通信・回収手段の確保 | 弊社手配 |
| 屋内受付・巡回警備 | 小型二足 / Unitree G1 | ○ 条件付 | 平坦床・充電2h・非力 | 弊社手配 |
| 広域の上空監視 | ドローン | ○ 条件付 | 航空法・飛行許可 | 開拓中 |
| 侵入者の確保・制圧 | ― | × 不可 | 検知・通報まで。制圧はしない | ― |
| 機種・形態 | 価格(税別) | 備考 |
|---|---|---|
| Unitree Go2 Air(販売) | 528,000円 | 二次開発は不可 |
| Unitree Go2 Pro(販売) | 678,000円 | 二次開発は不可 |
| Unitree Go2 X(販売) | 998,000円 | 自動巡回はここから |
| Unitree Go2 R&D Basic(販売) | 1,150,000円 | 開発・連携前提 |
| Go2 Pro オペレーター同行デモ | 150,000円 / 日 | 導入前の現場検証に |
警備で失敗しやすいのが機種選びです。Air・Proは二次開発(プログラム制御)ができません。手元のコントローラーで動かすだけなら足りますが、決まった経路を無人で巡回させ既存の監視システムへ上げたいなら、X以上・R&D系が必要です。まずはオペレーター同行のデモで実際の敷地を歩かせてから決めるのが確実です。
補助金は中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)が中心で、補助率1/2以下。従業員6〜20名の警備会社なら上限500万円、賃上げ要件を満たせば750万円です[3]。カタログ登録製品を販売事業者と共同で導入することが条件で、レンタルは対象外のことが多く、採択も保証されません。詳細は費用相場と補助金で導入へ。
関東経済産業局の施策パッケージは「中堅・中小企業が独力でロボットを導入することは困難」とし、事前検討から運用改善までの6段階を示しています[4]。警備では、そのうち事前検討で確認する項目が屋外特有です。
これらが決まってはじめて、巡回時間と人員配置の削減幅が試算できます。全体像は導入ガイド、検証はPoC、つまずきは失敗パターン、近い業種は物流・倉庫と製造に。
警備員の代わりに、夜間巡回を任せられますか?
巡回そのものは四足ロボットで実用段階です。決めた経路を歩き、カメラで異常を撮り、遠隔に上げるところまで担えます。ただし異常かどうかの判断と、その先の対処は人に残ります。置き換えではなく、歩く距離を減らす道具です。
侵入者を取り押さえることはできますか?
できません。能力DBでも×(今はできない)です。人に接触して動きを止める行為は安全上も法律上もリスクが大きく、機体の出力も足りません。役割は検知と通報まで、と最初に決めておくことが重要です。
雨や雪の日でも動きますか?
小雨程度の短時間なら運用例はありますが、悪天候や強風は△です。とくにドローンの上空監視は、安全のため飛ばさない判断が正解になります。天候で巡回を止める基準を先に決めてください。
階段や砂利道も歩けますか?
四足ロボットの強みがここです。車輪型が入れない階段・段差・不整地を歩けます。ただしグレーチングや側溝の格子、凍結路面は苦手なので、経路上の実物を事前に確認します。
四足ロボットはいくらですか?
2025年10月6日改定の価格表で、Unitree Go2 Air 528,000円、Go2 Pro 678,000円、Go2 X 998,000円、R&D Basic 1,150,000円(すべて税別)。まず試すなら、オペレーター同行のGo2 Proデモが1日150,000円(税別・2026年6〜7月時点)です。
自動で巡回させるには、どの機種が要りますか?
Go2はAirとProが二次開発(プログラム制御)に対応せず、X以上が対応します。決まった経路を自動で巡回させ、既存の監視システムへ上げたい場合はX以上、R&D系を前提に見積もってください。
補助金は使えますか?
中小企業省力化投資補助金(カタログ注文型)は補助率1/2以下で、従業員6〜20名の事業者なら上限500万円(賃上げ達成で750万円)。カタログ登録製品を販売事業者と共同で導入することが条件です。レンタルは対象外が多く、採択は保証されません。
敷地の広さ・巡回ルート・監視したい対象をお聞きすれば、どのロボットが・いくらで・どこ経由で入れられるか、補助金まで含めてご案内します。相談は無料です。